34. 海外でも広まるテレワークの普及事情

長時間労働の改善やライフワークバランスに対する意識から、日本ではテレワーク導入が推進されています。
海外でもテレワークは導入されていますが、どのくらい普及しているのでしょうか?

海外ではどのくらい普及しているのか

IPSOS社は2011年に24ヶ国のテレワークの動向を調査したところ、世界でテレワークが実行されている割合は17%でした。
この割合は5人に1人がテレワークを実施していることになります。
積極的に導入されている地域とその割合は中近東・アフリカとラテンアメリカが27%、アジア太平洋は24%となっています。
北アメリカやヨーロッパが9%なので、新興地域で普及していることが分かるでしょう。
また、テレワーカーは高学歴で35歳未満、そして高所得世帯に多い傾向にあることが同調査で分かっています。
男女比は男性が19%、女性が16%なので、男性の方が多い様子です。

各国の普及度と労働環境の特徴

世界のテレワーク普及率は低・中・高の3段階に分けることが可能です。
主要国の普及度と労働環境の特徴を見ていきましょう。

低 ・・・ 韓国、シンガポール

元々長時間労働が伝統的になっているため、柔軟な働き方が普及されていません。
そのため、テレワークの普及も低いようです。

中 ・・・ ドイツ、フランス

労働者保護を重視しているため、労働時間に関しては厳しい規制があります。
柔軟な働き方でなくても、元々労働時間が短めなのでテレワークの普及度も中レベル程度のようです。

高 ・・・ アメリカ、カナダ、フィンランド

アメリカやカナダは労働時間の規制は比較的緩い傾向があります。
3ヶ国とも柔軟な働き方がしやすいので、テレワークの導入が進んでいる様子です。

なお、日本は低~中、イギリスは中~高と中間地点の普及度となっています。

各地域の動向について

テレワークを導入する目的や推進は国や地域によって異なるので、各地域の動向を見ていきましょう。

アメリカ

2010年に連邦政府がテレワーク強化法を成立させており、テレワークを推進しています。
アメリカはフリーアドレスの一種であるホテリングにより、オフィススペースの節約などコストダウン効果を狙ってテレワークの導入がされているようです。
一方、9.11以降は事業継続を目的に機能分散化を図るための導入も注目されています。
アメリカは個人の仕事と範囲が明確になっており、労働時間の管理規制もないのでテレワークが導入しやすいのでしょう。

カナダ

カナダはアメリカに近い雇用制度となっています。
労働時間の法的な規制はなく、柔軟な働き方ができるのでテレワークが導入しやすいようです。
カナダ統計局の調査によれば、フルタイム就業者のうちテレワークなどが可能な人は48%、併用可能な人は15%となっています。

ヨーロッパ

アメリカに対抗しようと基本戦略としてICTの活用強化が推進されています。
しかし、ドイツやフランスなど大陸側の国は労働時間の管理規則が厳しいので、アメリカに比べると普及度は低めです。
また、労働時間の短縮化が進んでいるので、柔軟な働き方にこだわる必要がない点も普及の妨げとなっています。

アジア

韓国は長時間労働が根強く残り、その見直しと少子高齢化の防止として2015年までにテレワークの実施を30%にする目標を掲げました。
しかし、2015年の利用率は14.2%となっており、目標を遥かに下回っています。
シンガポールはフルタイム雇用かつ固定時間制度が根強く残るため、テレワークがあまり浸透していません。
しかし、外国人の労働力に依存しているので、労働力不足の解消と女性の労働参加を促すために、柔軟な働き方の促す動きが見られます。
政府はフレックスタイムやパートタイムなどを導入する企業のサポートに取り組んでおり、いずれはテレワークが普及する可能性は十分にあるでしょう。

海外のテレワーク市場は働き方や労働時間の関係で、普及率には大きな差が見られます。
それでも、コストダウンや人材確保を狙って導入する企業は世界的に増えているのです。
生産性や社員の満足度向上に最適な働き方なので、これからも世界中で浸透していくと考えられます。

投稿日:2020年03月30日

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