22. 過労死ラインを超える人が多数…教育現場はどう働き方改革に取り組むべきか?

平成28年度の教員勤務実態調査では、教員の1週間あたり学内総勤務時間を調査したところ、小学校は55~60時間未満、中学校は60~65時間未満が最も多い割合を示しました。
ただ、これはあくまでも学内の総勤務時間であり、持ち帰りの仕事にかかった時間は含まれていません。
さらに部活動の顧問となると休日を返上して部活動に取り組んでいるケースは少なくなく、長時間労働につながっていると指摘されています。
そんな教育現場ではどうやって働き方改革を行っていけば良いのでしょうか?
今回は、公務員である教師の働き方改革についてご紹介していきます。

学校で蔓延している長時間過密労働

上記でも少し触れましたが、残業時間は小中学校で約60時間前後の割合が最も高くなっています。
月60時間の残業というとそれほど長時間労働に感じられないという方もいらっしゃるかと思いますが、教員は週平均5時間程度自宅で持ち帰りの仕事を行っているため、その数字を含むと過労死ライン(月80時間以上)を超える人の割合が、平均で6割以上いることが分かったのです。
しかもこうした学校の長時間過密労働問題というのは最近になって取り上げられるようになったものではなく、10年も前から文科省は学校現場の負担軽減プロジェクトチームの発足や業務改善のためのガイドラインなどで対策を講じています。
それでも問題が改善されない原因は、教員が生徒のことを思っているからです。
時間外や土日になってしまっても丁寧に添削をしたり、補修や部活動指導を行ったりしています。
また、学校では改善した時に他の部分で悪影響を及ぼすのではないかという懸念から、伝統を大きく変えられないという点が挙げられます。
こうした背景により、教員の長時間過密労働はなかなか改善されないのです。

学校の働き方改革の取り組み事例

学校では難しい働き方改革ですが、実は既に取り組みを行っている学校もあります。
具体的にどのような取り組みを行っているのか、事例をご紹介していきましょう。

まず、退勤時間を厳格化しているという学校があります。
こちらでは生徒の下校時間を17時40分までにしていて、19時には校舎にある全ての門が閉まってしまいます。
そのため、職員室も18時を過ぎるとほとんど人がおらず、鍵を持っている一部の管理者だけが残るという形を取っているのです。
そのようになってしまうと自宅に持ち帰って仕事をしてしまい、意味がないのではないかと思われてしまうかもしれませんが、こちらの学校ではプリントを減らし、連絡事項はほとんどメールで行っています。
「印刷する」という手間を省き、他の時間に注力できるようにしているのです。
また、違う学校では定例会議の回数を減らし、少人数制にすることで若い教員からのアイデアが出しやすいような配慮をしました。
これによって学校では当たり前に行われてきたムダな作業が、若い教員の意見によってムダだということに気が付き、見直しをしています。
こうした具体例からも分かるように、学校でも小さなところからコツコツと働き方改革を実施していけば、それが積もり積もって大きな改革につながっていくのです。

教職員を希望する若者は年々減少しており、人手不足に陥っていると言われています。
働き方改革を実施し業務効率化を行わなければ、いつまで経っても業界全体の人手不足問題は解決されないでしょう。
学校には生徒や保護者、教育委員会もあるので大きな改革を起こすことは難しいですが、小さな部分から少しずつ改革を行っていけば、教員が働きやすい職場づくりにつながり、結果として生徒にも良い影響を与えられると考えられます。
教員が最大限のパフォーマンスを発揮できる職場に変化させていきましょう。

投稿日:2019年09月11日

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