PCログを活用した勤怠管理のメリットと注意点

最終更新日:2024年3月27日

働き方改革やテレワーク増加により、企業は各従業員の勤怠管理における労働時間の客観的記録が求められるようになりました。その有効な手段として現在注目されているのがPCログです。PCログを活用する際は、メリットや注意点について理解しておくことが大切です。
2019年に働き方改革が開始されて以降、従業員の労働時間の客観的な記録が求められるようになっています。そこで注目されているのが、PCログによる労働時間の記録です。本記事ではPCログがなぜ勤怠管理に有効なのか、その活用方法やメリットと注意点について詳しく解説します。

始業・終業時刻を記録する方法

2019年4月からスタートした働き方改革により、企業には各従業員の労働時間を適正に把握する義務が課せられています。

始業・終業時刻を記録するには、主に以下の3つの方法があります。

  • 使用者が自ら現認する記録方法
  • タイムカードやPCログなどの客観的な記録方法
  • 労働者の自己申告制の記録方法

PCログによる記録は、2つ目の方法の一部です。まずはそれぞれについて詳しく解説します。

使用者が自ら現認する記録方法

1つ目は、使用者が自ら現認する記録方法です。使用者自身、または労働時間管理を行う人が直接始業・終業時刻を確認します。確認した始業・終業時刻については、該当労働者も確認することが望ましいです。
この方法は確実な始業・終業時刻の記録方法ですが、労働者の人数が多い場合や複数の拠点に分散している場合などでは、現実的に難しい場合もあるでしょう。

タイムカードやPCログなどの客観的な記録方法

2つ目は、タイムカードやPCログなどを利用する記録方法です。労働時間を記録するためには、タイムカードやICカード、PCの利用時間など客観的な情報を基にするのが望ましいです。必要に応じて残業命令書や報告書など、労働者が持つ記録と突き合わせて確認し、記録します。
この方法は、使用者が自ら現認する方法に次いで確実な始業・終業時刻の記録方法です。また労働者の人数や拠点数に関わらず、比較的容易に実施できます。

労働者の自己申告制の記録方法

3つ目は、労働者が自己申告により始業・終業時刻を報告するという方法です。ただし、自己申告で労働時間を把握すると管理が曖昧になりやすいため、自己申告制を取り入れる場合は、必要に応じて実態調査を実施するなど、適切な対策を取る必要があります。

navigate_next出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

なぜ、PCログを活用した勤怠管理が有効なのか

現代の日本では、新型コロナウイルス感染拡大などをきっかけに、テレワークの導入が急速に進んでいます。この状況を踏まえると、従来の管理方法では不十分となってしまうケースも多いでしょう。例えば従業員が同じ就業場所で働くことを前提としているタイムカードや手書きによる管理では、勤務形態がさまざまだと、正確な勤務状況が把握できない可能性があります。
勤務形態に関わらず、各従業員の労働時間を正確に把握するには、PCのログという客観的な記録に基づいた管理方法が望ましいと考えられます。

PCログとは

PCログとは、コンピュータの利用状況やデータ通信履歴などの記録を指します。具体的には、PCの電源をオンにしてからオフにするまでの稼働時間中の操作履歴を、記録として残したものです。

PCログで勤怠管理する方法

PCログを勤怠管理に活用する方法は、主に「各従業員のPCで確認」と「ログ管理システムを利用」の2つです。

各従業員のPCで確認

OSのシステムを利用すると、PCログを確認することができます。Windowsの場合はイベントビューアーを使用してPCの電源オン・オフの操作履歴を確認でき、Macの場合はコンソールアプリからログの取得が可能です。 しかしこの方法は手間がかかり、従業員の数が多い場合や日々の確認が必要なケースでは非現実的です。

ログ管理システムを利用

ログ管理システムとは、PCや他のシステムからのデータ履歴、すなわちログを自動的に取得・保存・監視・分析するためのシステムです。こういったシステムを活用することで、PCログの自動取得と保存が可能となり、データの信頼性も向上します。
従業員のPC使用状況をリアルタイムで監視し、記録できるシステムや、異常な活動が検出された場合に管理者へ警告を送る機能を備えたシステムもあります。

PCログを勤怠管理に活用するメリット

PCログを勤怠管理に活用することには、以下のメリットがあります。

  • 自己申告以外で労働時間を正確に把握できる
  • 打刻漏れや不正な打刻修正の申請にも対応可能
  • サービス残業やカラ残業を防止できる
  • テレワークにも柔軟に対応できる

これらのメリットを活用することで、より正確で公平な勤怠管理が可能となり、労働者の権利保護や健康経営の実現にも寄与するでしょう。一つずつ解説します。

自己申告以外で労働時間を正確に把握できる

PCログを取ると、PCの使用状況を客観的に記録できるため、自己申告に頼らずに労働時間を把握することが可能です。自己申告に頼ると、意図的でない記憶違いや、意図的な虚偽申告のリスクが常に存在します。PCログを用いることで、このような不確実性を排除し、労働時間の記録をより信頼性の高いものにできます。

打刻漏れや不正な打刻修正の申請にも対応可能

PCログを用いることで、従業員のPCの使用状況を正確に追跡できます。これは、従業員が作業を開始した時刻と終了した時刻を、PCの電源がオン・オフされた時間に基づいて推測することを可能にします。このような方法は、従業員がタイムカードの打刻を忘れたり、意図的に勤務時間を修正したりといったケースに対応する際に非常に有効です。

サービス残業やカラ残業を防止できる

PCログによる勤怠管理では、従業員が実際にPCを使用している時間を把握できるため、実際の労働時間が明確になります。この透明性は、サービス残業(勤務時間外の無給労働)やカラ残業(勤務していないにもかかわらず残業を申告する行為)の抑制にもつながるでしょう。

テレワークにも柔軟に対応できる

現代の多様な働き方において、PCログはテレワークという新しい働き方にも柔軟に対応します。テレワーク環境では、従業員はオフィス外で業務を行うため、先述の通りタイムカードなどの従来の勤怠管理方法が適用できない場合があります。その点PCログによる勤怠管理は、従業員がどこにいてもその労働時間を記録できるため、リモートワークを実施している企業にとって有効な手段となるはずです。

PCログを勤怠管理で利用するときの注意点

PCログを勤怠管理で利用するときには、以下の点に注意する必要があります。

  • PCログのみで労働時間を正確に把握できるわけではない
  • ログの収集や管理に手間がかかる
  • 終業時にPCの電源を切るなどの社内ルールを徹底する必要がある
  • 業態や職種によっては対応できない

これらの注意点を理解し、適切に対応することで、PCログを効果的に勤怠管理に活用できます。

PCログのみで労働時間を正確に把握できるわけではない

PCログはPCの使用状況を記録するものであり、必ずしも実際の労働時間を正確に反映しているわけではありません。例えばPCを使わない業務や、PCを使いながらの休憩時間などはPCログからは把握できないのです。こうった誤差を防ぎ、より正確性を高めるには、通常の勤怠管理システムとの併用がおすすめです。

ログの収集や管理に手間がかかる

PCログの収集には専用のソフトウェアやシステムを使用しますが、その設定や管理には一定の手間がかかります。また従業員のプライバシー保護や、情報セキュリティの観点から、適切な管理が求められます。

終業時にPCの電源を切るなどの社内ルールを徹底する必要がある

PCログはPCの電源が入っている間しか記録されません。そのため、電源のON・OFFに関する社内ルールを徹底することが重要です。具体的には、以下のようなルールが考えられます。

  • 終業時にPCの電源を切る
  • 休憩中や業務時間外のPC利用は禁止する
  • PCのスリープモードや休止モードは利用しない

これらのルールを徹底することで、PCログに基づく労働時間の把握がより正確になります。

業態や職種によっては対応できない

PCログを用いた勤怠管理は、職種や業務形態によっては適切でないことがあります。例えば外回り営業のように直行直帰が多い職種では、PCの使用が業務と直接関連しないため、PCログを効果的に活用することが難しいです。
また複数の従業員が一つのPCを共有している場合、アカウントの切り替えを忘れると、誤った記録が残るリスクがあります。
このような状況では、複数の打刻オプションを提供する勤怠管理システムを導入するのがおすすめです。勤怠管理システムによっては、PCログ以外にも、ICカード、指紋認証、GPS、チャットボットなど、さまざまな打刻方法に対応しているものがあります。複数の打刻方法を組み合わせることで、業態や職種によって最適な打刻方法が選択可能です。
また職種や部署ごとに、異なる打刻方法を採用する方法もあります。PC利用が多い職種の従業員はPCログで打刻し、外回りが多い職種の従業員はICカードで打刻するなど、職種や部署によって打刻方法を切り分けることで、より正確な勤怠管理が実現できます。

PCログを活用した勤怠管理で、労働時間の適正化を実現

PCログを活用した勤怠管理には、労働時間の適正な把握や虚偽の勤務時間申告の防止など、さまざまなメリットがあります。PCログは各従業員のPCで確認することもできますが、効率的な管理方法を重視するのであれば、ログ管理システムを利用するのがおすすめです。本記事でご紹介した注意点を踏まえながら、自社に適した勤怠管理方法を検討してみてください。

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この記事を書いた人

株式会社ラネクシー MylogStar担当者

20年以上にわたりログと向き合い、活用方法を模索し続けているMylogStarの製品担当。
新たな活用方法はないかどうか最新のトレンドにアンテナを張り、皆さまに役立つ情報をお届けします!